口腔ケアの時間になっても、口を固く結んだまま開けてくれず、無理にやろうとすると怒らせてしまうとお悩みではありませんか?
認知症などを伴うパーキンソン病の方の「開口拒否」は、「何をされるかわからない不安」や過去の痛みの記憶による心理的な防御反応であることが多いのです。今回は、無理にこじ開けず、ご本人が自然と口を開けたくなるようなケアのコツを解説します。
1. 遠い場所から触れる「脱感作(だっかんさ)」
いきなり口元に歯ブラシを近づけると、誰でも恐怖を感じて身構えてしまいます。
まずは、口から遠い場所である「腕」や「肩」からゆっくり優しく触れ、安心してもらう「脱感作」というステップを踏みましょう。肩甲骨の周りや首筋を優しくマッサージして上半身の緊張をほぐすだけで、自然と口元の力も抜けやすくなります。
2. 「唾液腺マッサージ」で開く準備を
お顔の緊張がほぐれてきたら、口の周りの筋肉(口腔周囲筋)のマッサージを行います。
耳の下(耳下腺)やあごのライン(顎下腺)を優しく円を描くように撫でることで、こわばった筋肉がリラックスし、唾液の分泌も促されます。このように「気持ちのよい刺激」から始めることで、ご本人の警戒心が解け、口を開けやすい状態が整います。
3. 「2人体制」と「安全な道具」の活用
どうしても拒否が強い場合は、1人で抱え込まず「2人体制」で行うのが安全です。
1人が正面に座って優しく声をかけたり手を握ったりして安心させ(安心担当)、もう1人がその隙に素早くケアを行う(実技担当)とスムーズに進みます。また、不意に口が閉じて指を噛まれるのを防ぐために、「バイトブロック」と呼ばれる専用の開口保持具を活用するのも大切な安全管理です。
心のゆとりが「お口の扉」を開く鍵
口を開けてくれない時は、「綺麗にしなければ」と焦る気持ちを一旦手放し、タイミングをずらしたり、マッサージなどの心地よい関わりに切り替えたりする心のゆとりが重要です。
しかし、お口の中に口内炎などの「痛み」が隠れていて口を開けないケースもあります。拒否が続く場合や出血が見られる場合は、無理にケアを続けず、歯科医師や歯科衛生士などの専門職に相談し、プロのアプローチを依頼しましょう。
