「とろみをつけても、お茶を飲むとむせてしまう」とお困りではありませんか?
実は、水やお茶などの”さらさらした液体”はのどを通るスピードが非常に速いため、飲み込みのタイミングが間に合わず、最も誤嚥(ごえん)を起こしやすい危険な食べ物です。安全に水分を摂るためには、とろみをつけるだけでなく、飲むための道具を正しく使い分けることが不可欠です。今回は、コップ、ストロー、スプーンのそれぞれの特徴と使い分けを解説します。
1. 一口量が目で確認できる「スプーン」
一口量が多いとむせやすい方におすすめなのが、スプーンでの介助です。 スプーンは一口の量(3〜5mL)を正確にコントロールできるため、のどに一度に流れ込む危険を防げます。
介助する際は、ボウル部が浅く幅の狭いスプーンを選び、引き抜くときは上へ持ち上げず水平に引くことで、ご本人のあごが上がって空気の通り道(気道)が開いてしまうのを防ぐことができます。
2. あごを引いた姿勢を保てる「ストロー」
自力で飲める方にとって、ストローの最大の利点はあごを引いた安全な姿勢のまま飲めることです。
ただし、吸い上げる力が必要になるため、力が弱い方には径が細く、短いストローを選ぶと、吸う労力を減らし、かつ一口に入ってくる量を適度に抑えることができます。
3. 「コップ」で飲むときのあご上がりの罠
使い慣れたコップを使用することは最も自然ですが、飲み干そうとしてコップを傾けると、どうしても頭が後ろに反り(あごが上がり)、誤嚥の危険が高まります。
これを防ぐためには、鼻に当たる部分が三日月型に切り取られたU字カットコップ(ノーズカットコップ)が大変有効です。これを使えば、顔を真っ直ぐ前に向けたまま、最後まで安全に飲み干すことができます。
一口のスピードと姿勢を道具でコントロールする
水分のむせを防ぐには、飲むスピードを抑え、あごを引いた姿勢を崩さないことが鉄則です。スプーンで量を管理し、U字カットコップやストローで姿勢を守るなど、ご本人の状態に合わせた道具の組み合わせがむせを軽減する水分補給を実現します。
もし、食具を工夫してとろみをつけてもむせが続く場合は、とろみの濃度が合っていない可能性があります。不安に感じたら無理に飲まず、言語聴覚士や看護師に相談し、その方に適した水分の摂り方を再評価してもらいましょう。
