誤嚥(食べ物が空気の通り道である気管に入ること)を防ぎ、安全に食事を楽しむためには、食事の姿勢がとても重要です。
特に高齢者や飲み込みの機能が低下している方は、安定した姿勢にすることで誤嚥のリスクを減らすことができます。また、疲労を最小限にし、食事の摂取量を安定させるという重要な役割を果たします。本記事では、誤嚥しにくい食事の姿勢のポイントをわかりやすく解説します。
1.誤嚥と姿勢の関係
誤嚥は姿勢が崩れるだけで起こりやすくなる
食べ物の通り道(食道)と空気の通り道(気道)は、のどで交差しています。そのため、姿勢が悪いと食べ物が誤って気道側に入りやすくなります。(=誤嚥)
特に筋肉のこわばりなどにより、頭部が後ろに反ってしまう場合、食べ物が気道に流れ込みやすくなり、誤嚥のリスクを増大させます。
正しい姿勢は飲み込みの筋肉を助ける
姿勢を整えると、舌やのどの筋肉が動きやすくなり、飲み込みの動作がスムーズになって誤嚥の予防につながったり、体が安定すると疲れにくくなり、食事摂取量の維持にもつながります。
2.椅子や車いすで食事する場合の調整ポイント

(1)あごを引く
誤嚥予防で最も大切なのは、あごを軽く引いた姿勢です。
あごが上がると気管が開き、誤嚥しやすくなります。
- NG:天井を見上げるような姿勢
- OK:うなずくように軽くあごを引く
※あごと胸の間に指が4本分入るくらいの角度がよいと言われています。
(2) 深く座り、骨盤を立てる
深く腰掛けて骨盤をしっかり立て、太ももが床と平行になるようにします。
※横から見た時に骨盤と太もも、膝が90度になっているとよいです。
背中が丸まるとおなかが圧迫され、食事が進まなくなりやすいので注意します。
座面が広く隙間がある場合、クッションやタオルで隙間を埋めて姿勢を安定させます。
(3) 足の裏をしっかり着ける
足の裏全体が床、または高さを調整した足台(段ボールや牛乳パックなど)にしっかり接触するようにします。足裏の接触する面積を増やすと、姿勢が安定します。
3.ベッド上で食事する場合の調整ポイント

姿勢を保つことが難しくなってきた場合は、ベッド上で食事をすることがあります。
(1) 体のずれ落ちを防ぐ
ベッドを平らにし、腰の位置をベッドの折れ曲がる部分に合わせます。
足元に丸めた布団やクッションを置き、足の裏全体を着けてずり落ちを防ぎます。
(2) 膝を曲げる
ベッドの角度調整機能で、膝を軽く曲げてから、上体を起こします。
背中の後ろに手を入れて擦ると、ベッドとの摩擦を解消でき、楽になります。
(3) あごを引く
椅子の場合と同じく、あごを軽く引きます。
枕やタオルなどを使用し、頭部が後ろに反らないように支えます。
4.まとめ
誤嚥を防ぐためには、「あごを軽く引く」「深く座る」「足をしっかりつける」
この3つを整えるだけでも大きく変わります。
正しい姿勢は、食事の安全性と楽しさを高めます。
嚥下障害の状態によっては、特別な姿勢の調整が必要なこともありますので、「むせやすくなった」「食べにくそう」などの変化がある場合は、医師や嚥下の専門職(言語聴覚士)に相談することも大切です。家族が正しい姿勢をサポートすることで、食事の時間がより快適で安心なものになります。

