「食事中にテレビに夢中になって手が止まってしまう…」
「急に話しだしてむせることがある…」 このようなことはありませんか?
実は、食事中の「ながら食べ」は、誤嚥(ごえん)のリスクを高めることがあります。今回は、できるだけ安全に食事を進めるための「環境づくり」と声かけのコツを解説します。
1. なぜ食事中の「集中」が必要なのか?
食べるという行為は、目で見て食べ物を認識し、噛んで、タイミングよく飲み込むという複雑な動作の連続です。
パーキンソン病や認知機能の低下があると、周囲の音や動きに注意が奪われやすく、飲み込むという大切な動作がおろそかになってしまいます。その結果、のどに食べ物が残ったままになったり、タイミングがずれて誤嚥してしまったりするのです。
2. 安全を守る「情報の絞り込み」
注意が散漫にならないよう、食事に関係ない刺激を減らす「情報の狭小化」を行いましょう。
- テレビやラジオは消す: 食事中はテレビを消し、テーブルの上には食事に関係のないものを置かないようにします。
- 視界をコントロールする: 人の動きが気になってキョロキョロしてしまう場合は、壁を向いて座ってもらうなど、視界に入る情報を減らすと食事に集中できるようになります。
3. 介助者の「声かけ」も環境の一部
環境とは場所だけではありません。介助するご家族の振る舞いや声かけも、安全な食事環境の重要な一部です。
- 口に食べ物がある時は話しかけない: 「美味しいですか?」とつい聞いてしまいがちですが、返答しようとして口を開けると、食べ物がのどに落ちて誤嚥を招きかねません。飲み込んだのを確認してから声をかけましょう。
- 端的な声かけで促す: ぼんやりして手が止まっている時は、「見て」「食べて」「飲み込んで(ゴクンして)」と、一つの動作に対して短く端的に声をかけることで、嚥下を意識させることができます。
安全で穏やかに食べるための環境をつくる
環境調整とは、ご本人が安心して「いま、食べている」ことを実感できる環境をつくることです。テレビなどの刺激を遮断し、視界を整え、適切な声かけを行うことで、誤嚥のリスクを減らし、食事に集中しやすくなります。
しかし、他の人が見えたほうが食事の場面だと理解しやすい人もいれば、静かな方が良い人もおり、適切な環境は人によって異なります。一人で抱え込まず、医師やケアマネジャー、言語聴覚士といった専門家に相談し、その方に合った環境を見極めていきましょう。
