お口がカラカラに乾いていて、食べ物が舌や上あごに張り付いて飲み込みにくそうにしていることはありませんか?
高齢者やパーキンソン病の方は、のどの渇きを感じにくくなっているうえに、お薬の副作用(抗コリン作用など)によって唾液の分泌が減りやすい状態にあります。今回は、口の乾燥を防ぎ、食事をスムーズにするための工夫を解説します。
1. 口の渇きは「食べる力」を奪う
唾液は、お口の中の汚れを洗い流すだけでなく、バラバラの食べ物をまとめて飲み込みやすい塊にする「天然の潤滑剤」です。
お口が乾燥していると、パンやクッキーなどのパサつく食べ物がのどに張り付いて窒息(ちっそく)や誤嚥(ごえん)の原因になります。さらに、舌が乾いていると味を感じにくくなり、食欲の低下にも直結してしまいます。
2. 外側からの潤い「保湿ジェルの正しい使い方」
お口の乾燥が強い場合は、市販の口腔ケア用保湿ジェルを活用しましょう。口腔ケア用保湿ジェルは、主にドラッグストアや歯科医院、ネットショッピングなどで購入できます。
ケアの前にジェルを塗って汚れをふやかし、きれいになった後にもう一度薄く塗って粘膜を保護します。ここで注意したいのは、「古いジェルや汚れをしっかり拭き取ってから、新しく塗り直す」ということです。汚れの上から塗り重ねてしまうと、かえって細菌の温床になってしまいます。
3. 内側から潤いを引き出す「唾液腺マッサージ」
外からの保湿だけでなく、自ら潤う力を引き出すマッサージも食事前に行うと効果的です。
- 耳下腺(じかせん):
耳たぶの少し前、上の奥歯のあたりを指全体で後ろから前へ優しく回すように撫でます。 - 顎下腺(がっかせん):
あごの骨の内側の柔らかい部分を、耳の下からあごの先に向かって優しく押し上げます。 - 舌下腺(ぜっかせん):
あごの先端の真下から、舌を突き上げるように両手の親指でグッと押します。
― 潤いのあるお口が、安全な食事と肺炎予防の鍵
お口の乾燥は食べにくさを招くだけでなく、細菌を繁殖させて誤嚥性肺炎のリスクを高めます。こまめな水分補給に加え、保湿ジェルの活用や唾液腺マッサージを取り入れることで、お口の自浄作用を高め、スムーズな飲み込みを助けることができます。
しかし、急激な乾燥はお薬の副作用や全身の脱水が原因であることも少なくありません。乾燥がひどい場合は一人で判断せず、医師や看護師、歯科医師に相談し、専門的なケアのアドバイスを受けましょう。
