パーキンソン病に認知症が伴うと、手の震えや筋肉のこわばりといった身体的な動かしにくさに加えて、注意力や認識力の低下が重なり、食事の介合法がより複雑になります。
単に「食べてください」と促すだけでは、なぜか口を開けてくれなかったり、手が止まってしまったりすることが増えます。今回は、脳と体の連携を助け、スムーズに食事を進めるための「声かけ」と介助のコツを解説します。
1. 「五感」を刺激して食べ物を認識させる
認知機能が低下すると、目の前にあるものが「食べ物である」と認識できなくなること(失認)があります。
「ごはんですよ」と言うだけでなく、「〇〇さんが大好きな、お出汁のきいたお吸い物ですよ」と、本人の記憶や嗜好に働きかける具体的なメニューを伝えましょう。また、食べる前に匂いを嗅いでもらうことで、脳に「食べるスイッチ」が入り、唾液の分泌や飲み込む準備が整いやすくなります。
2. 短く、具体的な「ワンコマンド」で導く
注意力が散漫になりやすかったり、どう動いていいかわからなくなったりしている(失行)場合は、長い指示は混乱を招きます。
「よく噛んで飲み込んでから、お茶を飲んで」と一度に伝えるのではなく、「見て」「口を開けて」「ゴクンして」のように、一つの動作に対して短く一言(ワンコマンド)で伝えるのが鉄則です。
3. 身体の記憶を呼び覚ます「手添え介助」
言葉で伝えても動作が止まってしまう時は、介助者がご本人の手にそっと手を添え、一緒にスプーンを持って口元へ運ぶ「手添え介助」が有効です。
すべてを介助者がやってしまうのではなく、ご本人の「自分で動かしている感覚」を刺激することで、身体が昔から覚えている動き(手続き的記憶)を呼び覚まし、スムーズに食べ始められることが多くあります。
― 本人のリズムを引き出す伴走者になる
認知症を伴う方の食事介助では、ご本人のリズムが止まってしまった時に、適切な「声かけ」で動作のきっかけを作り、一緒に動きをサポートすることが大切です。
しかし、日によって認知機能に波があることも多いため、ご家族だけで対応に悩むこともあります。食事の手が止まることが増えたら、言語聴覚士や作業療法士に相談し、ご本人が理解しやすい声かけや介助のタイミングについてアドバイスをもらいましょう。
