「食事は自分で完食できるし、歯磨きも自分でしているから大丈夫」と安心していませんか?
実は、能力的に「自分で食べられること」と「お口の中を隅々まで清潔にできていること」は別物です。パーキンソン病が進行すると、手先の細かい動きが難しくなり、気づかないうちに磨き残しが増えてしまいます。今回は、誤嚥性肺炎を防ぐための正しい口腔ケア方法と、食べる力を引き出す口腔体操を解説します。
1. 歯ブラシとスポンジブラシの使い分け
お口の中の表面積のうち、歯が占める割合はわずか25%であり、残りの75%は「粘膜(頬の内側や上あご、舌など)」です。歯を磨くだけでは不十分です。
- 歯のケア: 歯ブラシは鉛筆のように持ち(ペングリップ)、歯と歯茎の境目に45度の角度で当てて小刻みに動かします。
- 粘膜のケア: 歯がない部分や上あご、頬の内側は、水で湿らせて「しっかり絞った」スポンジブラシを使い、奥から手前へ優しくなでるように汚れを拭き取ります。
2. うがいが難しい時は「拭き取り」に
パーキンソン病で飲み込む力や吐き出す力が弱くなっている方に、無理にブクブクうがいをさせると、誤って水を気管に吸い込んでしまう(誤嚥)危険があります。
うがいが危なっかしいと感じたら、無理をさせず、口腔ケア用ウェットティッシュや水で濡らしたガーゼを指に巻き、お口の中の汚れを丁寧に拭き取る方法に切り替えましょう。
3. 食べる準備を整える「パタカラ体操」
食事の前にお口の周りの筋肉を動かすことは、安全に食べるための準備運動として有効です。
「パ・タ・カ・ラ」と大きく口を動かして発音してみましょう。「パ」は食べ物をこぼさない唇の力、「タ」は食べ物を押しつぶす舌の先、「カ」は誤嚥を防ぐのどの奥の力、「ラ」は食べ物をまとめる舌の動きをそれぞれ鍛え、飲み込みのスイッチを入れてくれます。
毎日のお口のケアと体操が、食べる力を長持ちさせる
お口の中を清潔に保つことと、食前の体操で筋肉を目覚めさせることは、誤嚥性肺炎を防ぎ、自力で食べる期間を長く保つための秘訣です。ご本人が自立している場合でも、時々はご家族が磨き残しをチェックし、足りない部分をサポートすることが大切です。
しかし、お口の汚れ具合や適切な道具の選び方は、残っている歯の本数や飲み込む力によって異なります。定期的に歯科医師や歯科衛生士に相談し、プロの視点からその方に最適なケア方法を指導してもらいましょう。
