パーキンソン病の症状が進行してくると、外出自体が大きな負担になったり、歯科医院の診察台に移ったり、治療中ずっと同じ姿勢を保つことが難しくなる場合があります。通院が困難になると、「もう歯医者さんには診てもらえないのでは」と不安に思われるかもしれませんが、決してお口のケアを諦める必要はありません。
今回は、通院が難しくなった際の心強い味方である「訪問歯科診療」の活用法について解説します。
1. 訪問歯科診療(往診)とは?
訪問歯科診療は、病気や身体の障害などの理由で歯科への通院が困難な方のために、歯科医師や歯科衛生士がご自宅や入居施設に直接来て、診療を行ってくれるサービスです。
専用の携帯用機器を持ち込んでくれるため、虫歯や歯周病の治療、入れ歯の調整や作製のほか、お口の清掃や飲み込み(嚥下)の訓練など、歯科医院に通うのとほぼ同じような治療やケアを自宅で受けることができます。
2. 歯科医院の診察台に移れなくても大丈夫?
「診察台に移れないから治療は無理だろう」と心配されるご家族も多いですが、訪問歯科ではご自宅のベッドに寝たままの状態や、普段お使いの車椅子に座ったままの状態でも診療を受けることが可能です。
ご本人の身体の動かしやすさや痛みの有無に合わせて、クッションなどで姿勢を調整しながら、一番楽で無理のない体勢で治療やケアを行ってくれます。
3. 「訪問口腔衛生指導」による専門的なケア
訪問歯科では、歯科医師による治療だけでなく、歯科衛生士が定期的に訪問して継続的なケアを行う「訪問口腔衛生指導」というサービスもあります。
日頃のご家族のケアだけでは落としきれない汚れを取り除き、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん:本来、食道へ送り込まれるべき食べ物や唾液、胃からの逆流物などが誤って気管から肺に入ってしまい、一緒に流れ込んだ細菌などが原因となって肺に炎症を引き起こす病気)を防ぐための専門的なお掃除をしてくれます。また、飲み込みがスムーズになるようなお口のリハビリや、唾液の分泌を促すマッサージなども行ってくれるため、お口の機能の維持・回復にとても役立ちます。
4. 利用を始めるにはどうすればいい?
訪問歯科診療を利用したい場合は、まずはかかりつけの歯科へ相談してみるのが一番スムーズです。難しい場合は、担当のケアマネジャーに相談してみるのが一番スムーズです。
ご自宅や居宅系の施設で生活している要介護・要支援の方であれば、介護保険(居宅療養管理指導)を利用してこれらのサービスを受けることができます。ケアマネジャーに相談してケアプランに組み込んでもらい、訪問歯科を行っている地域の歯科医院を紹介してもらいましょう。 (※介護保険を受給していない方でも、医療保険を適用して利用することが可能です。)
まとめ
パーキンソン病が進行して歯科医院へ行くことが難しくなっても、訪問歯科や訪問口腔衛生指導を上手に活用することで、住み慣れた環境のまま安全にお口の健康を守り続けることができます。
通院や診察台への移動が少しでも「大変だ」「危ないかもしれない」と感じるようになったら、無理をせずに早めにかかりつけの医師やケアマネジャーに相談してみてください。
