「しっかり食べているはずなのに体重が減ってきた」「体が細くなって元気がなくなった」と感じることはありませんか?
パーキンソン病の方の体重減少を防ぐには、通常の食事に良質な油(脂質)や、少量でも高エネルギーな食事に整えることが不可欠です。
体重減少は単なる「やせ」ではなく、全身の筋肉が落ち、歩行機能の低下や飲み込みの障害(嚥下障害)を悪化させる原因となります。
今回は、効率よくカロリーを補うための具体的な食事の工夫について解説します。
1. なぜパーキンソン病は「体重減少」が起こりやすいのか?
パーキンソン病の方は、じっとしていても手などが震える(振戦:しんせん)や筋肉のこわばる(筋固縮:きんこしゅく)といった症状により、本人の自覚以上にエネルギーを消費しています。
その一方で、病気の進行や薬の影響で食欲が落ちたり、飲み込みにくくなったりすることで、必要な栄養が不足しやすくなります。
体重が減ると免疫力が低下し、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)などの感染症にかかるリスクも高まるため、早期の栄養ケアが重要です。
2. 効率よくカロリーを補う3つの工夫
一度にたくさん食べられない方でも、以下の工夫を取り入れることで効率よく栄養を補給できます。
1) 「脂質(油)」を活用する
脂質は1gあたり9kcalと、糖質やタンパク質の2倍以上のエネルギーがあります。
- 調理の仕上げにプラス: お粥や味噌汁、煮物にMCTオイルを小さじ1杯垂らすだけで、味を変えずに約40kcal補給できます。
- 調味料を工夫する: ほうれん草の和え物にマヨネーズを加えたり、パンにバターをたっぷり塗ったりすることで、エネルギー密度を高められます。
2) 少量頻回食にする
- 食事の回数を分ける: 一度に多く食べられない場合は、1日の食事を5〜6回に分け、間食にプリンやアイスクリーム、高カロリーなゼリーを取り入れましょう。
- 味と香りのメリハリ: 嗅覚が低下している場合があるため、出汁や香辛料を効かせて味をはっきりさせると、食べる意欲が刺激されます。
毎日の「ちょい足し」が、明日を生きるエネルギーに
「食」は生命を支え、日々の活力となる大切なものです。体重の減少に気づいたら、無理にたくさん食べさせようとするのではなく、今回ご紹介した「ちょい足し」や「少量頻回食」のような、ご本人の疲労にならない工夫を取り入れてみてください。
しかし、急激な体重減少の背景には、お薬の効き目や目に見えない嚥下機能の低下が隠れていることもあります。ご家族だけで抱え込まず、医師やケアマネジャー、管理栄養士などの専門家に相談し、その方に最適な栄養サポートの計画を一緒に立てていきましょう。
