「最近、よだれが増えて、口の周りがいつも濡れている」「本人も気にしているけれど、どうすればいいの?」といった悩みはありませんか?
実は、この「よだれ」は唾液の量が増えているわけではなく、飲み込み回数の減少によって起きる現象です。今回は、「よだれ」と「肺炎」の深い関連性から、なぜ今、徹底的な「口腔ケア」が必要なのかを解説します。
1. よだれは「飲み込めていない」証拠
そもそも「よだれ」とは何でしょうか?医学的には「流涎(りゅうぜん)」と呼ばれ、口の中に留めておけずにあふれ出てしまった唾液(だえき)のことを指します。
多くの人に誤解されていますが、単に”唾液が増えた”わけではなく、無意識に唾液を飲み込む回数が激減していることが関係しています。健康な人は無意識に1日何百回も唾液を飲み込みますが、その機能が鈍くなることで、行き場を失った唾液が口の中に溜まり、口を閉じる筋肉のこわばりも相まって外へあふれてしまうのです。
2. 溜まった唾液は「細菌のプール」になる
口の外にあふれるということは、口の中やのどの奥にも唾液が溜まっている状態です。口の中が不衛生な状態が続くと、細菌が増殖し「細菌のプール」と化しています。
これを寝ている間などに不意に空気の通り道である気管へ吸い込んでしまうと、細菌が肺に入り込み、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を引き起こす可能性が高まります。つまり、よだれが出ている時は、飲み込みの機能も低下してきているため、お口の中の衛生状態に一層の注意が必要なサインといえるのです。
3. 「拭く」よりも「口の中をきれいにする」
よだれ対策で最も重要なのは、あふれたものを拭くこと以上に、口の中の細菌を減らす口腔ケアです。
- 食前のケア: 寝ている間に増えた細菌を、食事と一緒に飲み込まないよう、食べる前に除去します。
- 保湿と清掃: 粘膜をスポンジブラシなどで清掃し、保湿剤で保護することで、口の自浄作用を高めます。
- 意識的な「ゴックン」: よだれが垂れそうな時は、「つばを飲み込みましょう」と声をかけ、意識的にのどに溜まった唾液を胃へ送り込んでもらいましょう。
清潔な環境が命を守る
よだれは、「飲み込む力が弱っていますよ」「口の中が汚れていますよ」という身体からのSOSです。
単にティッシュで拭き取るだけでなく、歯科衛生士や看護師と連携してプロ仕様の口腔ケアを取り入れましょう。お口の中を清潔に保つことこそが、パーキンソン病の方を肺炎から守る、最も強力な予防策になります。
