その一瞬を大切に、少しでも思い出に残る看取りを目指して
千葉県内の急性期病院の外科病棟で約5年勤務した後、療養病院での勤務を経て、平成14年7月にあさひガーデン姉崎(現在のリヤンド-絆-姉崎)に入職。当施設での勤務は丸21年。
<目次>
・これまでのキャリア
・私たちの役割
・少しでも思い出に残る看取りを
・今後の目標
これまでのキャリア
准看護師として働きながら学校に通い、正看護師免許を取得。約5年間急性期病院で経験を積みました。その後、地元・勝浦に戻って療養病院へ転職。そこは昔、私の祖母がお世話になったことがある病院で、看護師として生まれ育った地域に恩返しという気持ちで働かせてもらいました。
急性期病院では、特に外科病棟だったこともあり、手術を経て元気になって退院して行かれる患者さんを見送る経験ができました。一方で、患者さんと長く関わる看護やご家族と深く関わらせていただいて支援する機会は少なく、療養病院へ転職した際にはそうした経験を積みたいと考えていました。
介護施設へのキャリアチェンジ
皆さん『おうちに帰りたい』『住み慣れた家で家族と一緒に時間を過ごしたい』という気持ちが一番あるはず。けれど病気が理由で帰れなかったり、ご家族がおうちでは看てあげられないので、申し訳ない気持ちを抱えながら病院や施設に預けている方も多い。私は看護師として、そういったご家族の気持ちを楽にしてあげられるサポートがしたいと考えるようになりました。
結婚を機に、市原市の方へ引っ越すタイミングで、当時オープンしたばかりのあさひガーデン姉崎(現在のリヤンド-絆-姉崎)へ入職しました。
私たちの役割
施設ができたばかりの約20年前、認知症が進行してきてご入居されることになったおばあさんがおられました。それまではお嫁さんがご自宅で面倒を見られていました。「おばあさんにはとても良くしてもらった分、私が面倒を見なければ」と考えていたお嫁さんは、介護施設に預けるということに負い目を感じていらっしゃった。けれど認知症が進行し、伝わらないことや理解できないことが増え、感情が抑えられずおばあさんに言いたくないことも言ってしまったり。それまで良好な関係だったのに崩れてしまった。
その時に私がご家族に伝えたことは、『ご入居者様の精神面でのサポートにおいては、看護師・介護士がご家族に代われない』ということです。「日々の生活に必要な介護・看護は私たちが代わりにできます。その代わりご家族には心に余裕を持ってもらって、おばあさんに会いに来てあげてください」と伝えました。ご家族がニコニコして会いに来てくれれば、やっぱりご入居者様も嬉しいはずです。それを聞いたお嫁さんは、「少し気持ちが楽になりました」とおっしゃられて、ご入居後もしっかりと面会に来てくれていました。
私の最終的な目標は、ご本人・ご家族にとって「数ある施設の中から、ここを選んで良かった」と思っていただくことです。
日々心がけていること
ご入居者様の情報が施設内・職員間でしっかりと共有できていることがとても重要だと考えています。
「私の家族は、きちんと看てもらえているだろうか?」
「お願いしたことが、介護スタッフが代わっても対応してもらえているだろうか?」
預けておられるご家族はやはり不安だと思います。
私達は、ご家族が面会に来られた際には、職員の方からご入居者様の様子やお願いされたことをやってみてどうだったのか等、できるだけお伝えしてあげるようにしています。そうすることで、ご家族にも安心していただけると考えています。
職員一人ひとりが、切れ目なくケアできるようにと日々頑張っています。
リヤンド-絆-姉崎の役割
本当は最期まで、できるだけ近くで見守ってあげたいけれど病院に入院してもらわないと看護ることができない。そういった方々は、これまでも地域にたくさんおられたと思います。
2023年8月からリヤンド-絆-姉崎に訪問看護ステーションが併設され、24時間体制で医療依存度の高い方も受け入れられる体制となったことで、住み慣れた地域で、ご家族の近くで人生の最期の時間を見守ってあげられる受け皿に、私たちがなれればと考えています。
少しでも思い出に残る看取りを
当施設が連携している訪問診療医の先生の終末期ケアの考え方に、私はとても共感しています。
その先生は「家族でもない私たち他人が、寿命を決めるものじゃない」「酸素濃度の数値が低くても、本人が苦しくないと言うのなら酸素マスクは付けなくて良い」と話されています。
病院での経験から、看護師の多くは酸素濃度の数値が悪くなるとすごくアタフタしてしまいます。けれど先生のお考えとしては、人生の最期を迎えるまでの日々を、色々な管に繋がれたまま過ごすのではなくて、看護師・介護士が注意深く観察しながら「今ならお風呂に入れてあげられるかもしれない」「今なら少しだけ散歩に行けるかもしれない」と一瞬一瞬を大切にして、少しでも良い思い出になる看取りにしてあげたい。
もちろんリヤンド-絆-姉崎では、ご自宅でできない医療的な処置を行いますが、リスクばかりに縛られず、できるだけご本人・ご家族の希望をお聞きし、医師・看護師・介護士で話し合いながら「こうしてあげたい」を叶えていくお手伝いができれば、理想のお看取りに近づけるのかなと考えています。
今後の目標
私も母をこの施設で看取りました。ご飯が食べられなくなってきて、胃瘻を検討するかすごく悩んでいた時に、先生が「娘に看てもらえるだけで、お母さんにとっては十分な親孝行だよ」と声をかけてくれました。私はその一言にすごく救われた気持ちになりました。そして「看取ろう」と決心することができた。
ご家族は色々な分岐点で迷うことが多いと思います。そんな時に周りからの一言で気持ちが楽になって、救われることがある。そういった思いにしっかりと寄り添っていける看護師でありたいと思います。
(写真・インタビュー・文:MottoBrand 福井勝雄)
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